本ページは、一般社団法人不動産クラウドファンディング協会(RCA)が無料公開している「不動産クラウドファンディングデータベース(RCDB)」を、投資家の皆様がより深く理解し、客観的なリスク検証を行うための実務専門用語集です。

RCDBの詳細画面に並ぶ各指標は、ファンドの安全性や出口戦略(売却計画)の確実性を見極めるための極めて重要なファクトデータです。
それぞれの用語の定義、およびデータベース上での確認ポイントを公正中立な立場から解説します。

データベース(RCDB)連携用語一覧

01契約形態(けいやくけいたい)

ファンドの組成にあたり、事業者と投資家の間で締結される法的な契約種別のこと。不動産特定共同事業法(不特法)に基づき、主に「匿名組合契約」か「任意組合契約」のいずれかが明記されます。少額から手軽に投資でき分配金が雑所得となる匿名組合型に対し、実際の不動産の共有持分を保有し分配金が不動産所得となる任意組合型など、契約形態によって出資者の法的権利、責任、および税務上の取扱いが根本から異なるため、投資前の確実な確認が必要となる最重要項目です。

02対象不動産(特定/変更)(たいしょうふどうさん とくてい へんこう)

ファンドの運用期間中に投資対象となる不動産(アセット)が、あらかじめ一つに固定されているか(大半は特定型)、あるいは運用の過程で入れ替わる可能性があるかを示す区分のこと。

  • 特定
    募集時に提示された特定の物件(マンションやオフィスビル等)のみを運用し、期間中に対象物件を入れ替えることはありません。投資家自身が出口戦略や立地リスクをピンポイントで分析できます。
  • 変更(変動型)
    運用期間中に、事業計画に沿って対象不動産を売却し、得られた資金で別の不動産を新たに取得・組み替える仕様を指します。事業者の運用手腕やポートフォリオ全体の健全性が評価の軸となります。

03インカムゲイン想定利回り(いんかむげいん そうていりまわり)

投資家への分配金原資のうち、対象不動産のテナントや入居者から支払われる「毎月の家賃収入(賃貸利益)」を原資とした想定利回り(年率換算%)のこと。対象物件の稼働率が安定している限り、景気の波に左右されにくく計算が立ちやすいという特徴があります。この数値が高いファンドは、すでに優良な入居者(テナント)が定着している安定型のプロジェクト(インカム重視型)であると判断できます。

04キャピタルゲイン想定利回り(きゃぴたるげいん そうていりまわり)

投資家への分配金原資のうち、対象不動産を第三者へ売却した際に得られる「不動産の売却益(値上がり益・売却差益)」を原資とした想定利回り(年率換算%)のこと。空室の多い中古ビルをリノベーションして満室にしてから売却するプロジェクトや、土地を購入して新築建物を開発する「開発型プロジェクト」等で高く設定される傾向があります。売却が成功した際のリターンは大きくなりますが、将来の不動産市況や買い手の有無によって実績が変動しやすいリスク(出口リスク)を伴います。

05元本割れ(棄損)の有無(がんぽんわれ きそん の うむ)

当該ファンドが運用を終了(結了)した実績において、投資家が最初に出資した「優先出資元本」が、1円でも減って払い戻された(元本割れが発生した)過去の事実があるかどうかを開示する項目。市場の健全性と透明性を客観的に担保するため、RCDBでは事実に基づいて「無」または「有」が厳格に記録されます。投資家がプラットフォーム(事業者)の過去のトラックレコード(誠実な運用能力)を比較・検証するための最も重要な指標となります。

06優先出資(ゆうせんしゅっし)

不動産クラウドファンディングにおいて、一般の個人投資家や資金提供者が拠出する出資枠(およびその総額)のこと。ファンドから得られる利益の分配や、運用終了時の元本の返還(償還)を、事業者(劣後出資者)よりも「優先的」に受ける権利が認められているのが特徴です。これにより、万が一不動産の価値が下落した場合でも、事業者の劣後出資の範囲内であれば投資家の元本は保護されるという、安全性を高めるための重要な出資階層となります。

07劣後出資(れつごしゅっし)

ファンドの総事業費のうち、ファンドを企画・運営する事業者自身が自己財務から拠出する出資枠(およびその総額)のこと。優先出資者(投資家)を守るための「緩衝材(盾)」の役割を果たします。不動産の価格低下や空室によって損失が発生した場合は、この劣後出資額から先に損失の負担を被るため、事業者は自らの損失を回避すべく、極めて厳格に物件の選定や賃貸管理を行うというモラルハザードの抑止効果が働いています。

08融資額(LTC / LTV)(ゆうしがく えるてぃーしー えるてぃーぶい)

総事業費、あるいは不動産の評価額に対して、運営事業者が銀行などの金融機関から外部調達(借入)した融資(ローン)の金額およびその比率のこと。

  • LTC(Loan to Cost)
    総事業費(建築費や物件取得費の総額)に対する借入金の比率。
  • LTV(Loan to Value)
    不動産の鑑定評価額(現在の資産価値)に対する借入金の比率。 外部融資を併用することで、投資家から集める出資金以上の大型アセットを運用(レバレッジ効果)できますが、比率が高すぎる場合は金利上昇リスクや、売却時に銀行への返済が最優先されることによる投資家元本の毀損リスクを慎重に見極める必要があります。

09権利形態(けんりけいたい)

対象不動産の土地および建物に関して、ファンド(事業者)が法的・登記上に保有している権利の種類のこと。

  • 所有権(しょゆうけん)
    土地・建物を完全に法令の範囲内で自由に使用・収益・処分できる最上位の権利。最も資産価値が安定しています。
  • 借地権(しゃくちけん)
    建物を所有するために、地主から土地を借りる権利(定期借地権や普通借地権など)。地代の支払い義務が発生するほか、期間満了時の更地返還義務(定期借地の場合)など、将来の売却(出口戦略)や物件の価値算定において所有権とは異なる特殊な制約が生じるため、データベース上で事前確認すべき重要な項目です。

10区域区分(くいきくぶん)

都市計画法に基づき、都道府県や市町村が定めた土地の利用制限(まちづくり)に関する区分のこと。

  • 市街化区域(しがいかくいき)
    すでに市街地を形成している区域、または計画的に市街化を図る区域(住宅地や商業地、工業地など)。一般的な流通性が高く、売却時の出口が安定しています。
  • 市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
    市街化を抑制すべき区域。原則として新たな建築や開発行為が法律で厳しく制限されているため、一般向けの売却(出口)が難航しやすく、ファンドとしては極めて特殊な再生計画や専門的な出口戦略が組まれているケースが多いため、初心者は特に注視すべき項目です。

11環境認証の取得(かんきょうにんしょうのしゅとく)

対象不動産が、建物の省エネ性能や環境への配慮、ウェルネスなどの基準を満たしているとして、第三者の公的機関から付与された格付け(グリーンビルディング認証)の有無。

  • 代表例
    DBJ Green Building認証、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)、BELS(建築物省エネ性能表示制度)など。近年、ESG投資(環境・社会・ガバナンスへの配慮)を重視する機関投資家や海外ファンドが増大しているため、環境認証を取得しているアセットは、出口戦略(最終的な高値売却)において極めて有利に働くという商業上のメリットがあります。

12物件の取得元(売買相手方)(ぶっけんのしゅとくもと ばいばいあいてがた)

事業者が当該ファンドを組成するにあたり、対象不動産を「誰から買い取った(仕入れた)か」という取引相手の資本関係・属性のこと。完全な外部市場(第三者)からの取得か、あるいは事業者のグループ会社(関連法人)からの取得かを開示します。グループ会社間のインサイダー取引(身内売買)である場合、取得価格が適正相場よりも不当に高く設定され、投資家にリスクが押し付けられていないかを、後述の「鑑定評価額」と照らし合わせて検証するための重要なセグメントです。

13物件の譲渡先(ぶっけんのじょうとさき)

運用期間が終了した際、対象不動産を最終的に「誰に売却(譲渡)するか」という出口の相手方の計画や実績。一般の第三者への市場売却か、あるいは事業者が運用する別のファンド、上場J-REIT、グループ会社が買い取る「買い戻し特約(リファイナンス)」であるかを開示します。これにより、ファンドが終了して投資家へ資金が還付(償還)される際の「出口の確実性」や「売却リスクの所在」を客観的に見極めることができます。

14再募集・追加募集の有無(さいぼしゅう ついかぼしゅうのうむ)

当該不動産を対象とした過去のファンドが満期を迎えた際、外部への売却を行わずに、新たなファンド(第2号、第3号など)を再組成して投資家から資金を再度集め直した(リファイナンス案件であるか)どうかの事実を示す項目。同じ物件で何度も募集が繰り返されている場合、本来予定していた外部への売却処分(出口)が難航し、資金を回すための「実質的な期間延長」を行っているサインである可能性もあるため、透明性の高い情報開示としてRCDBで厳格に管理されています。

15取得時の鑑定評価等と評価額(しゅっしじのかんていひょうかとうとひょうかがく)

ファンドの組成(物件取得)にあたり、国家資格を持つ不動産鑑定士などの独立した第三者機関が、客観的な法理に基づいて算出した不動産の「適正な評価額(鑑定評価額)」のこと。事業者が自社の主観でアピールしている「募集金額」や「購入価格」が、実際の市場相場と乖離(割高な仕入れ)していないかを投資家が客観的にチェックするための極めて強力なエビデンス情報となります。

16売却時の鑑定評価等と評価額(ばいきゃくじのかんていひょうかとうとひょうかがく)

運用終了(物件売却)にあたり、その最終的な売却価格の妥当性を証明するために、第三者機関より取得した鑑定評価額のこと。実際の売却実績価格と並べて開示されることで、事業者による不当な安値売却(身内への利益供与など)が行われていないか、市場相場に完全に適合した透明な出口戦略が遂行されたかを投資家が事後に検証することができます。

17ER(建物状況調査報告書)の取得有無(いーあーる の しゅとくうむ)

対象建物の構造的な安全性、雨漏り、耐震性、アスベストやPCBなどの有害物質の有無、および将来必要となる大規模修繕費用の予測などを専門の建築エンジニアが精緻に調査した「エンジニアリング・レポート(ER)」の有無のこと。築年数が経過した中古物件や一棟ビル投資において、目に見えない建物の重大な欠陥リスク(隠れた瑕疵)を事前に排除できているかを見極める、リーガル・物理的な重要指標です。

客観的なデータに基づく投資判断のために

不動産クラウドファンディング市場の健全な発展には、投資家の皆様が「利回り」や「広告のイメージ」といった一面的な情報だけで判断せず、裏付けとなる不動産の法的権利、物理的状態、 および事業者の財務構造を正しく把握することが不可欠です。
当協会が提供する「不動産クラウドファンディングデータベース(RCDB)」では、本ページに掲載された17の項目について、所属会員企業のファンド実績データを開示しています。他のファンドや事業者との横断的な比較、あるいは過去の運用トラックレコードの検証にぜひお役立てください。

免責事項

本用語集および当サイトが提供するデータベース項目解説は、不動産特定共同事業法等の法理に基づき、一般的な情報提供および投資家リテラシーの向上を目的として一般社団法人不動産クラウドファンディング協会が客観的に作成したものであり、特定のファンド、投資商品、または事業者への出資の勧誘、斡旋、投資助言を行うものではありません。実際の投資にあたっては、各事業者が契約時に電子交付する「契約締結前交付書面」等の内容を事前によくご確認の上、ご自身の責任においてご判断いただきますようお願い申し上げます。

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